中国語原典・地方志・非遺・標準・料理技術書を柱にした四川料理研究アーカイブ
年表

四川料理史年表

巴蜀食文化、川菜、調味料、制度、非遺、日本受容の流れを、史料上確認できる節目に絞って整理する。起源断定の一覧ではなく、どの時代に何が資料で確認できるかを読むための年表。

48公開中核項目
18時代区分
出典資料IDから確認可能

「麻婆豆腐」「郫県豆瓣」「日本受容」「SRC020」のように、料理名、制度、資料IDでも検索できます。

古代以前

1件
  1. 先史・古蜀

    成都平原の稲作、畜養、漁撈、酒器・食器の考古資料は、後世の川菜名を直接復元する材料ではなく、巴蜀の食物基盤を読むための入口になる。

    現代料理名を古代へ投影せず、器物、穀物、動物利用、水辺環境を分けて読む。

    資料上確認 ASRC112 ASRC113

秦漢

3件
  1. 前3世紀秦・戦国末

    秦による巴蜀統合と郡県制の進展は、成都平原の都市形成、交通、水利、食物流通を考える前提になる。

    料理そのものの成立ではなく、食材が都市へ集まる条件として位置づける。

    資料上確認 SSRC017 ASRC114
  2. 秦漢

    都江堰水利と成都平原の農業基盤は、米、野菜、酒、都市市場の長期的な背景として読む必要がある。

    『天府之国』の豊かさは観光句ではなく、水利・農業・都市需要の組み合わせとして扱う。

    資料上確認 ASRC114 ASRC068
  3. 漢代

    漢代画像磚に見える宴飲・庖厨表現は、巴蜀地域の調理場、食器、肉魚処理、宴席表象を読む手がかりになる。

    図像は料理名の初出ではなく、調理行為と宴飲の視覚資料として使う。

    資料上確認 ASRC115 ASRC112

魏晋南北朝

3件
  1. 常璩《华阳国志》は、巴蜀の風土、物産、嗜好を読む基本史料であり、後世の『尚滋味、好辛香』解釈でも参照される。

    古代から現代の麻辣料理がそのまま存在したとは読まず、辛香の語彙と物産記述を分ける。

    資料上確認 SSRC017 ASRC112
  2. 西晋

    左思《蜀都赋》は、蜀地の物産を文学的に描く資料であり、食材名や地域表象を読む際の補助資料になる。

    文学表現は実際の菜譜ではないため、誇張や典故を史実と分けて扱う。

    資料上確認 SSRC018 SSRC034
  3. 北魏

    《齐民要术》は、醤、豉、発酵食品、農産加工の技術を知る重要資料で、四川発酵調味料を考える際の比較軸になる。

    四川固有の初出としてではなく、中国料理技術史の広い文脈に置く。

    資料上確認 SSRC019 ASRC099

唐宋

4件
  1. 杜甫の蜀中詩文は、成都滞在期の酒、魚、野菜、都市生活の表象を読む補助資料になる。

    詩文を料理レシピとして読まず、素材名、季節感、都市生活の手がかりとして扱う。

    資料上確認 SSRC038 ASRC112
  2. 《东京梦华录》などに見える『川饭』は、四川系の食が外地都市で名指しされる早い資料として重要である。

    現代川菜の完成を示すのではなく、地方食が都市外食の中で認識された証拠として読む。

    資料上確認 SSRC031 ASRC117
  3. 陸游の入蜀詩文は、宋代四川の食材、酒、旅中の食事表現を読む補助資料になる。

    文人の記録は都市外食、地方物産、個人的経験を分けて読む。

    資料上確認 SSRC039 ASRC117
  4. 蘇軾関連の食事詩文は、眉山・東坡文化を語る重要な背景だが、東坡系料理の創始を単独で証明する資料ではない。

    人物伝承、地名ブランド、料理技術を分けて扱う。

    伝承併記 SSRC040 ASRC048

明清

5件
  1. 《本草纲目》の蜀椒・花椒条は、花椒の名称、薬物・香辛料としての扱いを確認するための基礎資料になる。

    唐辛子以前の辛香と、近現代の麻辣味型を混同しないための資料である。

    資料上確認 SSRC042 ASRC116
  2. 明清

    唐辛子の入川は一時点の事件ではなく、海椒・辣椒の語彙、地方志、栽培、調味利用を照合して読むべき問題である。

    『古代から四川料理は唐辛子で辛かった』という説明は採らない。

    要照合 ASRC121 ASRC157
  3. 湖広填四川以後の人口移動は、巴蜀地域の食材利用、調味、外食、家庭料理の再編を考える重要な背景になる。

    単一移民説で料理の起源を説明せず、人口移動と地域食の再構成を分ける。

    資料上確認 ASRC120 ASRC112
  4. 李调元《醒园录》は、家庭・宴席の料理技術を具体的に読む資料で、近世四川料理史の中核史料として扱われる。

    料理名の起源をすべて説明する本ではなく、技法、味つけ、素材処理を読む史料である。

    資料上確認 SSRC020 ASRC118
  5. 《筵款丰馐依样调鼎新录》など清代料理書は、宴席料理と家庭技術を比較するための材料になる。

    四川料理だけを切り出すのではなく、同時代の料理書と照合して技術語を読む。

    資料上確認 SSRC036 ASRC118

近代

5件
  1. 清末

    《蜀游闻见录》は、清末の旅人が見た四川の風土、食習慣、唐辛子・山地物産の記述を照合する資料になる。

    旅の観察記録であるため、地域全体の普遍的習慣として断定しない。

    資料上確認 SSRC037 ASRC121
  2. 1909清末・民初

    傅崇矩《成都通览》は、清末成都の市場、小吃、飲食店、茶館を読む重要資料である。

    都市成都の飲食空間を示す資料として、料理名の由来譚とは分けて使う。

    資料上確認 ASRC021 ASRC119
  3. 民国

    荣乐园など近現代の名店資料は、宴席川菜、名厨、都市外食の形成を読むうえで重要になる。

    老舗伝承は店史として扱い、料理の古代起源と直結させない。

    資料上確認 ASRC140 ASRC021
  4. 民国

    努力餐など民国期の都市餐飲資料は、成都・重慶の外食、政治都市、日常食の関係を読む材料になる。

    名店史と料理分類を混同せず、都市飲食の制度・空間として扱う。

    資料上確認 ASRC141 ASRC043
  5. 抗戦期

    重慶の戦時都市化は、川菜の全国展開、外来人口、宴席・大衆外食を考えるうえで重要な転換点になる。

    重慶火鍋や江湖菜をすべて抗戦期に帰すのではなく、都市人口と飲食市場の変化として読む。

    資料上確認 ASRC044 ASRC130

現代

3件
  1. 新中国成立後1949年以後

    国営飲食、料理学校、菜譜編纂は、川菜を家庭・店・教育の技術体系として整理する契機になった。

    味型分類や技法語は、近現代の教育と標準化の中で強く整理される。

    資料上確認 ASRC138 ASRC139
  2. 1980年代以後改革開放後

    改革開放後、火鍋、江湖菜、外食チェーン、複合調味料産業が川菜の見え方を大きく変えた。

    現代の麻辣イメージは、この時期以後の外食化・メディア化・産業化とも関係する。

    資料上確認 ASRC159 ASRC160 ASRC137
  3. 2010年代

    重慶火鍋、成都火鍋、串串香、冒菜、麻辣燙は、鍋底、油脂、蘸料、提供形式の違いを整理して読む必要がある。

    『辛い鍋』という一語ではなく、牛油、清油、紅湯、串、碗、個食化を分ける。

    資料上確認 ASRC103 ASRC104 ASRC130

標準・非遺

7件
  1. 2006

    GB/T 20560-2006が郫県豆瓣の地理的表示製品標準として公開され、郫県豆瓣を制度資料から読めるようになった。

    歴史伝承ではなく、製品範囲、地理、品質条件を確認する資料として重要である。

    確認済み SSRC016 ASRC106
  2. 2008

    郫県豆瓣传统制作技艺が国家級非遺資料で確認され、豆瓣を発酵調味料として保護・継承する枠組みが明確になる。

    非遺資料は伝承保護の根拠であり、料理名の起源を単独で確定する資料ではない。

    確認済み SSRC002 ASRC122
  3. 2008

    涪陵榨菜传统制作技艺が国家級非遺資料で確認され、三峡・涪陵の加工食品が川菜周辺の重要素材として読める。

    榨菜は副菜だけでなく、麺、炒め物、外食の塩味・歯ざわりにも関わる。

    確認済み SSRC003 SSRC092 ASRC128
  4. 2008

    潼川豆豉酿制技艺が国家級非遺資料で確認され、豆豉を川菜の発酵豆調味として読む根拠が強くなる。

    永川豆豉など他地域の豆豉と比較し、地名・製法・用途を分ける必要がある。

    確認済み SSRC004 ASRC124 ASRC099
  5. 2021

    川菜烹饪技艺が第五批国家級非遺代表性項目として確認され、料理技術そのものが保護対象として扱われる。

    川菜を単なる料理名一覧ではなく、技法、味型、火候、調味、伝承者の体系として読む節目である。

    確認済み SSRC001 ASRC028
  6. 2021

    保寧醋传统酿造工艺が国家級非遺資料で確認され、四川料理の酸味を泡菜だけでなく醋の技術からも読める。

    酸味は一枚岩ではなく、乳酸発酵、食酢、泡椒、柑橘、砂糖との組み合わせを分ける。

    確認済み SSRC005 SSRC095 ASRC125
  7. 2025-10-212025

    《川菜复合味型 二十四味型》系列団体標準の正式发布が業界資料で報じられ、味型分類の標準化が進む。

    標準は味型理解の強い手がかりだが、歴史的分類、教材分類、店の実務を完全に一つへ固定するものではない。

    業界資料確認 BSRC008 BSRC009 ASRC136

国際展開

2件
  1. 2010

    成都がUNESCO創造都市ネットワークの食文化都市として登録され、都市ブランドとしての川菜・小吃・外食文化が国際的に語られるようになる。

    登録は料理史の起源ではなく、都市文化政策と国際発信の節目として扱う。

    確認済み SSRC027 ASRC131
  2. 現代

    火鍋チェーン、調味料企業、冷鏈・預製菜は、川菜を店舗料理から食品産業へ広げる力になっている。

    伝統技術と産業化の関係を、標準、食品安全、流通、海外消費から読む。

    資料上確認 ASRC160 ASRC161 ASRC163 ASRC164

発酵・調味料

1件
  1. 2016

    四川泡菜の文化特色と川菜烹調での運用に関する論文資料は、泡菜を家庭保存食だけでなく調味素材として読む入口になる。

    酸菜魚、泡椒、泡姜、泡菜魚などを、乳酸発酵と料理技法の双方から扱う。

    資料上確認 ASRC015 ASRC105 ASRC123

研究・教育

1件
  1. 2022

    四川旅游学院・川菜发展研究中心の味型・調味料研究成果は、味型を観光語ではなく教育・研究上の分類として読む材料になる。

    二十四味型や複合味型は固定された永遠の分類ではなく、教材・標準・業界実務で揺れる。

    資料上確認 ASRC011 ASRC012 ASRC135

制度・産業

2件
  1. 2025-03-282025

    《四川省促进川菜发展条例》が四川省人大常委会で通過し、川菜は産業、人材、標準、ブランド、国際展開を含む制度対象になる。

    料理文化を保存するだけでなく、職業教育、調味料、名菜名店、海外展開まで含む政策資料として読む。

    確認済み SSRC007
  2. 2025-05-012025

    《四川省促进川菜发展条例》が施行され、川菜の標準化、産業化、文化発信は地方制度の中で扱われる。

    伝統保護と産業展開の緊張関係を、条例文と研究資料を照合して読む必要がある。

    確認済み SSRC006 SSRC007

档案・研究

1件
  1. 2025-062025

    近现代川菜档案の関連報道は、川菜史を老舗伝承だけでなく档案資料から再構成する方向を示す。

    菜譜、名店、名厨、教育、写真、営業資料を照合することで、近現代川菜の変化を具体化できる。

    業界資料確認 BSRC013 ASRC140 ASRC141

料理・味型

3件
  1. 近現代

    麻婆豆腐、回鍋肉、魚香肉絲、宮保鶏丁などは、料理名の由来譚だけでなく、菜譜上の記録、店史、味型、技法を分けて読む必要がある。

    有名料理ほど説明が固定化しやすいため、確認済み情報と伝承を分ける。

    資料上確認 ASRC142 ASRC143 ASRC144 ASRC145
  2. 近現代

    水煮牛肉は、自貢塩業、油、豆瓣、唐辛子、花椒、急火調理の関係を読む料理で、単なる激辛料理として扱わない。

    塩幇菜の地域性と近現代外食での変形を分ける。

    資料上確認 ASRC129 ASRC146
  3. 近現代

    夫妻肺片、担担面、鐘水餃、龍抄手など成都小吃は、担ぎ売り、紅油、甜咸、店のブランド化を分けて読む。

    成都小吃は一口料理の集合ではなく、都市空間、茶館、市場、老字号と関係する。

地域

3件
  1. 近現代

    宜賓燃面、宜賓芽菜、叙府小吃の資料は、川南・長江上流の麺食と発酵野菜の関係を読む材料になる。

    四川料理を成都だけで代表させず、宜賓の油、芽菜、麺の食べ方を地域差として扱う。

    資料上確認 ASRC046 SSRC093 ASRC127 ASRC151
  2. 近現代

    楽山小吃、跷脚牛肉、钵钵鸡、油炸串串は、茶館・市場・観光地の軽食文化として整理する必要がある。

    火鍋や串串香と混同せず、火入れ済み素材、冷たい紅油、油炸、蘸料を分ける。

    資料上確認 ASRC047 ASRC152
  3. 近現代

    涼山、甘孜、阿壩などの食材・民族食は、川菜の外縁と相互浸透を読むための重要な比較対象になる。

    四川省内の全食文化を川菜に吸収して語らず、地域・民族・高地食材の違いを残す。

調味料・産業

1件
  1. 現代

    菜籽油、花椒、辣椒、泡椒、豆瓣、複合調味料は、現代川菜の香りと産業化を結ぶ主要素材である。

    味の強さだけでなく、油への移香、揮発香、麻感、発酵香、工業製品化を分ける。

日本受容

2件
  1. 現代日本

    陳建民以後、日本では麻婆豆腐、担々麺、回鍋肉、エビチリなどを通じて四川料理イメージが家庭化・テレビ化した。

    日本式の辛味・甘味・とろみは、中国四川側の味型分類と一致しない場合がある。

    資料上確認 ASRC165 ASRC166 ASRC167 ASRC168
  2. 現代日本

    町中華や食品メーカーの商品で広がった『四川風』は、しばしば辛味記号として使われ、魚香、怪味、椒麻などの味型理解は薄れやすい。

    日本語読者には、中国四川料理、日本式四川料理、四川風商品の違いを説明する必要がある。

    資料上確認 ASRC169 ASRC165 ASRC168

読み方

1件
  1. 現在

    川菜史を読む際は、古籍、地方志、非遺、公的標準、料理学校教材、老舗伝承、観光資料を同じ重みで扱わない。

    年表は起源断定の一覧ではなく、どの時代に何が資料上確認できるかを整理するための入口である。

    研究上の注意 SSRC001 SSRC006 SSRC020 ASRC021 ASRC135